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執筆者の写真まきたひさこ

泣いた。

ブルーグレーの空。

なんだか怪しいな。

案の定、予報どうりの雨。

急いでコンちゃんの散歩へ。

今回は短縮バージョン。

帰ったらゆっくりいくけごめんよ。


午前中、中学校での講義を終え、

ちょこっと反省会をして、自宅に戻り

おばあちゃんからもらった服に着替えて出発。


初めての葬儀場はきれいで静かで舞台のようだった。

みんな黒い服着て、神妙だった。

遺影をみて、もっと美人さんなのに。

もうちょっといい写真なかったんだろうかと、

友人と話した。


お坊さんは知り合いで、いい声でお経を読むなあと思った。

けど、あの単調な読経は眠りを誘う。

うとうと・・

バシャ―ン、バシャ―ンと

シンバルみたいなものを合わせた音で

一気に目が覚める。


式の間中、私の隣、その隣、またその隣は

ずーっと声を殺して泣いていた。

前に座っていた男性たちも時々目頭を押さえていた。

みんなが悲嘆を共有して、泣いていた。

皆の涙を合わせたらどれくらいになるだろうか。

合わせた涙で生き返るとかの魔法でもあればいいのになあ・・。

なんて馬鹿なことを考えてしまう。


泣く。

涙は底なしだと思った。

いくらでも出てくるんだなあと思った。

泣くことのメリットは様々。

涙の中にはモルヒネよりも強力な

エンドルフィンが入っていて苦痛を和らげるらしい。

プラス、コルチゾールっていうストレスを下げる成分も

はいってるらしい。

恐るべし、涙。


大きなクラクションを鳴らしながら、

霊柩車は出発した。

その時、葬儀屋さんの演出で鳩が放たれた。

オオっ、すごい。

きりりと晴れた秋空に

鳩が列をなして旋回しながら

舞い上がっていく。

あの鳩どこに行くんかなあ・・・

隣の友人が

また、かえって来るわいな。

ちゃんと教えてある。

そうか、だわなぁ。


行ってしまうようで、

どこかに帰っていくようで・・・。

そもそも私たちは、

どこからきて、どこに行くのか。

よおわからんけど、

でも、とりあえず 生きてる。

今を生きるのが私の仕事なんだろうな。



*曼珠沙華

葉っぱのないすっきりとした

あでやかな花。

彼女はこの花が咲く頃に

逝ってしまったんだなあ。

今回ほど感慨深く

この花を見つめたことはないと思う。





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